写真●ニアショア開発の普及促進を通じ地方経済活性化を図る
写真●ニアショア開発の普及促進を通じ地方経済活性化を図る
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 ネットを介して地方のシステム開発会社やIT技術者と企業をつなぐサービスが相次いでいる。

 国内の地方企業へシステム開発を委託する「ニアショア」を手がけるシステム会社をネットで仲介するサービスを社団法人が開始。独自の認定制度を設けトラブルやミスマッチを防ぐ工夫を凝らした。クラウドワークスは企業が地方の技術者を「試用」できる期間を設けた新サービスを始めた(関連記事)。背景にあるのは「オフショア」コストの増加や情報共有システムの普及。地方の企業や技術者を使って遠隔地間でプロジェクトを実施することへの不安を取り除く。

 ニアショア開発をネットで仲介するサービスを始めるのは一般社団法人日本ニアショア開発推進機構(写真)。ニアショア開発を手がける地方のシステム開発企業とシステム開発の委託元であるユーザー企業を仲介するサービスを5月15日に始める。同機構はニアショア開発の普及促進を目的に2012年に発足。IT人材調達に詳しい小林亮介氏が代表理事を務め、現在の会員企業は40社、IT技術者6300人から成る。

 ユーザー企業に対する新サービスの特徴は大きく二つある。同機構がシステム開発能力を認定したニアショア企業にシステム開発を依頼できることと、遠隔地間でのプロジェクトマネジメント(PM)のポイントを同機構が指南することだ。

 同機構の設立趣旨は、出会いが少なかったユーザー企業と地方のニアショア企業のマッチング機会を増やすこと。新サービスの狙いは「遠隔地間でプロジェクトを実施することに対する、ユーザー企業の不安を払拭する」(小林代表理事)ことにある。

 小林代表理事は遠隔地間でのシステム開発プロジェクトの経験がユーザー企業に乏しいことが、ニアショア開発が低調である主因とみる。結果として「自社に常駐させる風潮」(同)が強かったという。新サービスでユーザー企業の安心感を高め、ニアショア開発の普及を後押しする考えだ。