キリングループの飲料自動販売機運営企業であるキリンビバレッジバリューベンダー(KBV)とLINEは2017年4月から、IoT(インターネット・オブ・シングズ)機能を備えた新型自販機「Tappiness(タピネス)」の展開を始めた。既設の自販機を改修するなどして、4月中に首都圏と近畿圏で約1000台を設置。1年後には全国で2万台まで増やす計画だ。
両社が協業した背景には、LINEのユーザーを取り込んで自販機ビジネスを再び成長軌道に乗せたいKBVと、スマートフォンのBluetoothを使った「LINEビーコン」の利用を拡大させたいLINEの思惑が一致したことがある。今回の協業は、LINEビーコンを全国規模で展開する初めての事例になる。事業のキーパーソンへの取材を通じ、両社のIoT戦略をひもとく。
Tappinessの基本的な仕組みは、LINEアプリをインストールしたスマートフォンを自販機の前面中央部にかざすと、自販機が内蔵するLINEビーコン通信機を通じて両者がペアリングし、様々な機能を利用できる、というものだ。
飲料購入時には1本につき1ポイントがたまる。15ポイント集まると「特典チケット」を配信する。特典チケットは飲料と交換できるほか、LINEの友だちに特典チケットをプレゼントする仕組みもある。
決済には従来通り現金か電子マネーを使えるほか、LINEが提供する決済サービス「LINE Pay」も利用できる。LINE Payを店舗で利用する場合はカードかアプリ画面上のバーコードを使うのに対し、Tappiness利用時はBluetoothで決済処理をする。