ローソンが次世代コンビニの実現に向けたデジタル戦略を始動した。

 全社活動「1000日全員実行プロジェクト」の下、製造小売りへの転換、チェーン全体の生産性向上、データ活用による高精度の需要予測といった改革に着手し、基幹システムを全面刷新する。この実現に向け、ITコンサルティングのシグマクシスと合弁会社を設立し、システム化力を高める。

 「ローソンの業務プロセスも情報システムも、全てゼロベースで見直す」。こう語るのは、この1月に発足した新会社ローソンデジタルイノベーション(LDI)の白石卓也社長だ。LDIはローソンとシグマクシスが共同出資で設立した会社で、白石社長はローソンの執行役員を兼務している。

「ここ10年進化していないコンビニの仕組みを変える」と意気込む白石社長
「ここ10年進化していないコンビニの仕組みを変える」と意気込む白石社長
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製造業としての情報システムを構築

 ローソンが掲げるデジタル戦略は三つの柱から成る。

 第一は製造小売業への転換に向けた、次期基幹システムの構築だ。同社はグループ内の原料調達子会社を中心に、弁当や総菜の原材料調達から、開発、製造、販売まで一貫して担う体制を築く方針を打ち出している。

 同方針の実現に向けて、「これまでのコンビニにはなかった、製造業としての情報システム」(白石社長)を構築する。弁当や総菜を製造する工場の生産管理や物流管理に加え、工場、物流網、店舗を横断した需要予測といったシステムが含まれる。

 第二の柱はサプライチェーン全体の生産性の向上である。

 IoT(Internet of Things)の技術を活用し、来店客の導線やコンビニ店員の働き方、さらには店内の照明や冷凍設備、コーヒーメーカーやフライヤーといった電気機器の稼働状況まで、様々な情報を見える化する。店舗運営の無駄を省くと同時に、発注精度の向上やマーケティング施策にもつなげる。