メーカー保証外でスマートフォンの第三者修理を手掛ける、いわゆる「街のスマホ修理店」の運営関係者の間で、米アップルの「方針転換」が話題になっている。保証規約に違反となる修理をしたiPhoneであっても、場合によって保証サービスを適用したり有償の正規修理に応じたりするように、保証や修理の規定を変えたというのだ。

 この方針転換はアップル内の内部情報として2017年2月頃に米国で報じられ、その後、米国やカナダで適用されたという。日本でも、記者がある正規修理サービス拠点に問い合わせたところ、店舗スタッフは「(アップルから)そのような趣旨の通達があったと聞いている。以前よりも正規修理を利用できる範囲は拡大している」という趣旨の回答をした。

保証違反のiPhoneでも修理を受けられる場合も

 アップルは、iPhoneなど自社製品すべての修理を、直営店かアップルが認定した「アップル正規サービスプロバイダ(ASP)」が手掛ける体制を世界的に築いてきた。日本ではビックカメラやキタムラなどがASPの拠点を多店展開している(写真1)。

写真1●アップルのホームページでは修理を依頼できる直営店とアップル正規サービスプロバイダが検索できる
写真1●アップルのホームページでは修理を依頼できる直営店とアップル正規サービスプロバイダが検索できる
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 これまで、ユーザーが自らiPhoneの修理を試みたり、第三者修理(アップルから見れば非正規の修理業者)に持ち込んで修理した場合は保証規約に違反となる。AppleCareを含めた保証サービスの適用外となるほか、修理そのものも受けられない恐れがあるとされてきた。

 アップルが、非正規の修理サービスを利用したiPhoneに対しても従来より柔軟な姿勢で修理に対応しているのは事実のようだ。例えば、第三者修理で画面割れなどを直した場合、ホームボタンやコネクター、バッテリーなど画面とは関係ない別の箇所の不具合なら、アップル側の判断で保証の範囲で無償修理が受けられる場合がある。

 ただし関係者の話を総合すると、「方針転換」とまでは言えないようだ。従来でも「アップルの直営店やASPは、我々のような第三者が修理した端末の正規修理をすべて断っていたわけではなかった」(第三者修理の関係者)。

 また記者が問い合わせたASPや直営店は「修理対応できるかどうかは、端末をお預かりして工場で判断する。端末の状況などによるので修理の可否は一概には 言えない」との回答で一貫している。つまり消費者に対する説明では、「従来より柔軟に対応する」と明言しているわけではない。