日本オラクルと日本マイクロソフトがデータベース(DB)分野で、値引きやエンジニアの教育を軸に、販売を強化している。日本マイクロソフトは2017年4月12日にパッケージベンダーに対して「SQL Server」の採用を促すプログラムを開始。動作環境の一つとしてSQL Serverの採用を決めたパッケージベンダーに対し、300万円相当の支援サービスを無償で提供すると発表した。

 一方の日本オラクルは2017年5月末までの計画で、「Oracle Database(DB)」のライセンスを50%以上割り引いて販売するキャンペーンを3月27日から実施している。米Oracleが提供するクラウド上での利用などの条件があるが、「パートナーごとに特別価格を用意している」と日本オラクル クラウド・テクノロジー事業統括 Database&Exadataビジネス推進本部の桑内崇志部長は話す。

 金銭的に訴求する販促キャンペーンに加え、両社はITエンジニアの教育にも注力している。日本オラクルは2016年10月にOracle DBの新版「12c Release 2(12.2)」のクラウド版の提供を始めたのをきっかけに、「2017年5月末までに12.2の機能を中心に3000人のITエンジニアに対して、12.2の機能の紹介を中心としたトレーニングを提供中だ」(日本オラクルの桑内部長)。

 日本マイクロソフトも2016年6月の「SQL Server 2016」の提供を開始に合わせ、2017年5月末までに2000人のITエンジニアに対してSQL Serverのトレーニングを無償で提供するとしている。Oracle DBなど他社製のDBのエンジニアも教育の対象にしていることが特徴だ。日本マイクロソフトはサービス開始当初、目標数を1200人としていたが、2000人に引き上げた。

マイクロソフトは脱Oracle市場を狙う

 日本マイクロソフトはパッケージベンダーの支援やITエンジニアの囲い込みにより、Oracle DBを中心とした他社製DBからのリプレースを狙っている。「現在50%と推定されるパッケージ向けDBの当社のシェアを、3年後までに10ポイント増やすのが目標」と日本マイクロソフトのクラウド&エンタープライズビジネス本部 業務執行役員の佐藤久本部長は話す。

 パッケージベンダー向けの販促策の主なターゲットは「Oracle DBを動作環境にしているパッケージソフト」(佐藤本部長)だ。Oracle DBからの移行工数や費用を算出する「Oracle Migration Assessment」や、Proof Of Concept(POC)/性能検証/開発支援などのメニューをパッケージベンダーの支援策として用意。それぞれのメニューごとに料金設定があり、支援を受けたいパッケージベンダーが300万円までの支援内容を自由に選べる。SQL Serverそのものを「値下げ」するわけではないものの、現在Oracle DBなどSQL Server以外のDBを利用しているパッケージベンダーにとっては、移行費用の負担軽減につながる。

 日本マイクロソフトが今回の販促策を提供するきっかけは「Oracle DBを動作基盤としたパッケージベンダーから相次ぎ、SQL Serverも動作環境に加えられないか問い合わせがあったことだ」と佐藤本部長は説明する。これまでOracle DBを動作基盤としていた富士通の生産管理システム「PRO-NES」やSCSKのCRM(顧客関係管理)パッケージ「eMplex」が、日本マイクロソフトの支援を受けてSQL Serverを動作基盤に加えたという。