ドローンを使って空に映像を表示する技術を、ネット広告大手のマイクロアドが開発した。LED照明を取り付けたドローン数十台を編隊飛行させ、音や動きに合わせて光らせる。商業施設やイベント会場で企業ロゴを映すといった用途を見込む。GPSより高精度な測位を可能にする「RTK」と呼ぶ技術を使い、誤差1m未満の制御を可能にした。ドローンの商業利用の可能性がまた一つ拓く

「外に向かって情報空間が広がっていく」と語る高城氏(右)と渡辺社長。手前はドローンを覆うカーボンフレーム
「外に向かって情報空間が広がっていく」と語る高城氏(右)と渡辺社長。手前はドローンを覆うカーボンフレーム
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 「何十台ものドローンを飛ばして空に絵を描ける。21世紀の花火になるのではないか」。ドローンを使って空間に映像を表現するプロジェクトのクリエイティブ・ディレクターに就いた高城 剛氏は、こう期待を込める。

 マイクロアドは2016年4月20日、ドローンを使って空間に画像や映像を表現するサービス「Sky Magic」を発表した。カーボン素材のフレームでドローンを覆い、フレームにはLED照明をずらっと取り付ける。LEDを発光させながらドローンを数台から数十台、光や音楽に合わせて編隊飛行させて演出を実施。「何もない空間をメディアに変えることができる」(マイクロアドの渡辺健太郎社長)。

富士山を背景に20数台のドローンが光りながら編隊飛行した
富士山を背景に20数台のドローンが光りながら編隊飛行した
(出所:マイクロアド)
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 ドローンは並んで飛んだり、隊列を回転させたりしながら空間を移動。平面に加え奥行きのある演出を可能にする。単純な四角形や三角形、円形の表現だけでなく、数を増やすことで簡単な文字やロゴを表現することも可能という。

 マイクロアドはこのサービスを活用し、従来のネット広告にとどまらない新たな広告やエンターテインメントなどへと事業領域を広げる。イベント会場やファッションショー、コンサート、スポーツ競技場などでの利用を想定。「文字や図形を使って広告を表現するほか、演出そのものがプロモーションになり得る」(渡辺社長)。既に国内外の企業から引き合いがあるという。