「Oracle Databaseの市場を奪うための施策だ」。日本マイクロソフト(MS)は2016年4月21日、同社のデータベース(DB)ソフトの新版「SQL Server 2016」の販促策として、他社製のデータベースソフトからの乗り換えを促進する移行支援プログラムを発表した。

 今回のプログラムの柱は二つある。他社製のDBからSQL Serverに移行する場合、SQL Serverのライセンスを「限りなく100%に近い値引きの特別価格」(クラウド&エンタープライズビジネス本部クラウド&サーバー製品マーケティング部の斎藤泰行部長)で提供すること。そして富士通やNECなど9社のパートナーによる移行支援サービスの提供だ。

 日本MSは今回のプログラムは対象を「他社製データベース」と広く提示しているが、斎藤部長は冒頭のように述べ、主要なターゲットはOracle DBと明確に示している。「顧客やパートナーから『Oracle DBから脱却したい』との声が増えてきている。Oracle DBの代替案を探している顧客やパートナーに対して、SQL Serverを提案していきたい」と斎藤部長は話す。

「1コア当たり100万円安くなる」

 移行支援プログラムの一つめである、ライセンス料金の特別価格での提供は、米国で3月10日(現時時間)に「Oracle DBから移行する場合、ライセンス費用を無償にする」と発表したプログラムの、いわば日本版だ。「日本では間接販売のため、販売価格を当社で決められず、『無償』にできない」(斎藤部長)という事情で、「特別価格」とした。

 このプログラムを利用してOracle DBからSQL Serverに移行した場合、「大規模システムでOracle DBのランニングコストとSQL Serverを比較すると、1コア当たり100万円程度、SQL Serverのほうが安くなる試算がある」と斎藤部長は説明する。「Oracle DBを100コアで利用していた場合、SQL Severに移行すると1億円安くなる計算になる。この差額を移行作業費に充ててほしい」(斎藤部長)というのが日本MSの訴求ポイントだ。

 二つめの柱である移行支援サービスは、富士通、NECのほか、アクセンチュアとアバナード、SCSK、デル、日本ヒューレット・パッカード、日本ビジネスシステム、日本ユニシスが提供する。斎藤部長は、「Oracle DBが得意なパートナーを中心にサービスを提供する」と強調。詳細な内容は各社で異なるが、移行の工数などを見積もるアセスメントや、実際の移行作業、導入後の運用支援などをまとめてサービスとして提供する。