ファナックは2016年4月18日、米シスコシステムズ、ファクトリーオートメーション(FA)大手の米ロックウェル・オートメーション、Preferred Networks(PFN)と協業すると発表した(写真1)。4社は共同で、工場のロボットやセンサー、CNC(コンピュータ数値制御装置)などから収集したデータを分析して、生産設備を制御するソフトウエア製品群「FANUC Intelligent Edge Link and Drive (FIELD) system」を開発する。
「機械学習などの最新ITを使って、ロボットを高度に制御する。約60年にわたって製造業の自動化を支援してきた当社の夢だった」。こう話すのはファナックの稲葉善治 代表取締役社長だ(写真2)。
これまでファナックはロボットやFAなどを主力事業として、工場内の生産工程の効率化や自動化に取り組んできた。同社が工場向けに出荷してきたロボットは40万台以上、CNCは345万台以上にも上る。
「これまでは、あくまでスタンドアローンだった。これからは外部の技術を積極的に取り込む」。例えば、FIELD systemに実装する「分散型機械学習」は、PFNが開発を進めている技術。複数台のロボットの学習効率を向上させる。
「例えば3台のロボットを同時に学習させれば、学習時間は3分の1で済む」。PFNの西川徹 代表取締役社長 最高経営責任者は分散型機械学習についてこう説明する。ロボットの学習結果を複数のロボットで定期的にやり取りする技術で、学習のスピードを向上させられる(写真3)。「世界でも最先端の技術」(西川氏)で、工場などの現場で実用化した事例は無いという。