マイナンバー制度と並び、企業にとって2015年の重要法律といえるのが、改正労働安全衛生法だ。2014年6月に公布され、従業員のストレス度合いの調査を事業者に求める「ストレスチェック制度」が設けられた。2015年12月1日から、50人以上の従業員を雇用する事業者にはストレスチェックが義務づけられる(50人未満の企業は、当面の間努力義務)。

 ここへきて、ストレスチェックの具体的な運用方法に関する情報が出そろってきた。厚生労働省は2014年12月に、専門家らによる検討結果を発表。2015年4月には、それに基づいた省令、告示、指針を公表した。

 これを受けて活気づいているのが、ITを活用したメンタルヘルス支援サービスである。改正法や省令に基づいたストレスチェックの実施や結果の集計、メンタルヘルス改善の支援などを請け負うサービスが相次いで登場している。

義務を負うのは企業、実施するのは医師や保健師

図1●ストレスチェック制度の概要(厚生労働省のWebサイトより)
図1●ストレスチェック制度の概要(厚生労働省のWebサイトより)
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 ストレスチェック制度とは、企業などの事業者に対し、従業員のストレスチェックを1年に1度実施することを求めるものである。その内容は、大きく二段階に分けられる(図1)。

 第一段階では、個々の従業員のストレスの程度を、あらかじめ用意した調査票を用いて調べる。事業者が従業員に対して直接行うのではなく、医師や保健師などの専門家に依頼して実施する。ストレスチェックの結果は、医師などの実施者が従業員に通知する。本人の同意がなければ、結果を事業者に伝えることは禁止されている。

 第二段階は、チェックの結果、高いストレスを抱えていると判断された従業員に対して行われる。医師などが面談指導を勧め、本人も必要性を認めた場合は、医師などによる面談指導を実施する。事業者はその結果を受けて、就労場所の変更や就労時間の短縮など必要に応じた措置を講じる。

 このようにストレスチェック制度では、実施の義務を負う事業者だけでなく、実施者となる産業医などにも少なからぬ負担がかかる。チェックの結果を事業者が見られない形で取り扱うなど、運用にも複雑さが伴う。