米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)が、ビッグデータ関連のサービスを急速に拡充している。同社は2015年4月、機械学習のクラウドサービスである「Amazon Machine Learning(ML)」を開始したほか、ファイル共有プロトコルの「NFS」によって利用できるファイルストレージのサービスである「Amazon Elastic File System(EFS)」を2015年夏に開始することなどを発表した()。

表●米アマゾン・ウェブ・サービスが拡充したサービス
サービス名概要サービス開始時期
Amazon Machine Learning(ML)機械学習プラットフォームのサービス2015年4月
Amazon Elastic File System(EFS)ファイル共有プロトコル「NFS」を使ってアクセスできるファイルストレージのサービス2015年夏(プレビュー版)
Amazon EC2 Container Service「Docker」コンテナが利用できるサービス2015年4月(プレビュー版から一般サービスへ移行)
AWS Lambdaモバイルアプリケーション向けのPaaS2015年4月(プレビュー版から一般サービスへ移行)

 これらの新サービスは、アマゾンが4月9日に米国サンフランシスコで開催したイベント「AWS Summit San Francisco」で発表した。米アマゾン・ドット・コムでAWS事業を統括するアンディー・ジャシー上級副社長は基調講演で、同日からサービスを開始したAmazon MLについて「アマゾンの小売事業で使う機械学習プラットフォームをサービスとして提供するものだ」と明かした。

 アマゾンでは創業直後の1990年代から、顧客の行動予測などに機械学習を使ってきたという。当初は、機械学習の仕組みを各事業部門がそれぞれ開発していたが、近年は社内に共通機械学習プラットフォームを構築し、それを利用している。「機械学習プラットフォームができたことで、アプリケーション開発者は機械学習に関する深い知識が無くても、機械学習に基づく予測などをアプリケーションに組み込めるようになった。Amazon MLは、その利点をアマゾン社外にも広げるものだ」(ジャシー上級副社長)。

 Amazon MLは、ユーザーがオブジェクト・ストレージ・サービスである「Amazon S3」や、DWH(データ・ウエア・ハウス)のサービスである「Amazon Redshift」などに蓄積したデータを使って、機械学習ができるというサービスである。ユーザーはWebユーザーインタフェースを使って予測モデルを構築したり、予測モデルを検証したり、リアルタイム予測などを実行したりできる。

NASに相当するサービスを投入

 新サービスであるAmazon EFSは、「Amazon EC2」の仮想マシンからファイル共有プロトコル「NFS」を使って利用できるストレージサービスであり、NAS(ネットワーク・アクセス・ストレージ)に相当する。Amazon EFSは2015年夏に、プレビュー版を開始する。