サイバー攻撃の手口を種明かしすることで、サイバーセキュリティに対する経営層の意識を変え、効果的な防御策の考案につなげようとする教育プロジェクト「Hackademy」が発足した。2016年3月29日にオンライン教育サービスの「Udemy」上で、「サイバーセキュリティ~ハッキングと防御 ビギナー編」という動画の配信を開始した(写真1)。

写真1●オンライン教育サービス「Udemy」上で配信中の動画「サイバーセキュリティ~ハッキングと防御 ビギナー編」
写真1●オンライン教育サービス「Udemy」上で配信中の動画「サイバーセキュリティ~ハッキングと防御 ビギナー編」
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 Hackademyは「Hack」と「Academy」を組み合わせた造語。企業の枠を超えたオープンプロジェクトとして、セキュリティ対策を技術と経営、攻撃と防御の両面から学べる動画コンテンツの配信に加え、セキュリティ関連のセミナーも開催していく。

 発起人は日本CISO協会の主任研究員や筑波大学でサイバーセキュリティの講師などを務める蔵本雄一氏と、Webアプリケーションのセキュリティ情報やツールを開発・公開している国際団体「OWASP(Open Web Application Security Project)」の日本リーダーなどを担う岡田良太郎氏だ(写真2)。

写真2●Hackademy発起人の岡田良太郎氏(左)と蔵本雄一氏(右)
写真2●Hackademy発起人の岡田良太郎氏(左)と蔵本雄一氏(右)
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 2人が最初にHackademyの構想を話し合ったのは2015年末のこと。きっかけはサイバー攻撃を仕掛ける側と、攻撃を防ごうとする企業側で技術に対する知識に差があるという問題意識だ。蔵本氏は「企業の事業部門や総務部門の人はサイバー攻撃に対して漠然とした不安を抱えているが、実際にどのような手口で攻撃されるのかを知らない。攻撃側が圧倒的に詳しい状況は危険だ」と警鐘を鳴らす。