IT企業の経営幹部がユーザー企業の幹部へと転身する動きが目立ってきた。象徴といえるのが、2017年4月1日付で日本マイクロソフト執行役員会長からパナソニック専務役員に転じた樋口泰行氏()。6月29日の株主総会で代表取締役にも就く予定だ。

図 IT企業からユーザー企業に転身した幹部の例
経験を武器にデジタル戦略をけん引
図 IT企業からユーザー企業に転身した幹部の例
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 樋口氏は2008年から2015年まで日本マイクロソフト社長を務め、日本法人の業績や評価を先進6カ国の子会社中で首位に押し上げた立役者。2014年に「IoT(インターネット・オブ・シングズ)やビッグデータ解析で匠の技をモデル化する戦略は日本人に向く。競争を勝ち抜く上で、日本ならではの強みを伸ばすことは重要」と話している。

 樋口氏は、パナソニックの社内分社であるコネクティッドソリューションズ(CS)社の社長を務める。新天地を、発言の実践の場としていく。

 CS社はグループの法人向け事業を担う組織で、従来のAVCネットワークス社を母体に4月1日に新設された。ノートPC「レッツノート」やタブレット「タフパッド」などの製品や製造業向けIoT関連ソリューションを扱う。

 CS社が掲げるのは顧客密着型の事業体制。樋口氏も日本マイクロソフト時代に顧客志向を重視していた。ITとビジネス双方の経験を生かし、IoTをはじめとするデジタル技術を駆使して担当事業をけん引していく。