「新たな決済サービスが台頭すれば、CAFISを利用する金融機関や加盟店が減る。そうした将来に危機感を持っている」。こう話すのはNTTデータ ITサービス・ペイメント事業本部 カード&ペイメント事業部 第一開発統括部 システム企画担当の宮原秀友課長代理だ。

宮原課長代理(右)と大原課長
宮原課長代理(右)と大原課長
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 同社は2018年度上期をめどに、スマートフォンのアプリを使った決済サービス事業に乗り出す。同決済サービスは、クレジットカード決済インフラ「CAFIS(キャフィス)」を利用する。

 最終消費者である利用者は、スマホのアプリに銀行口座を登録すれば利用できる。クレジットカードは必要ない。NTTデータがスマホアプリを使った決済サービスを提供するのは初めてとなる。

 NTTデータが同サービスを始める背景には、金融とITを融合させた「FinTech」に対する危機感がある。「スマホのアプリをチャネルとして、決済が可能になる手段が増え始めた。CAFISのネットワークを迂回されてしまう」(宮原氏)。

 例えば、LINE子会社のLINE Payが提供する同名の決済サービス「LINE Pay」は、銀行口座から直接チャージして利用できる。このほか、中国発のQRコード決済「支付宝(Alipay)」「微信支付(WeChat Pay)」も、中国の銀行口座を登録し、クレジットカード決済のネットワークを使わずに利用するものだ。

 NTTデータはこうした新興勢力に対抗するために、銀行口座から直接支払いが可能なスマホ決済サービスに乗り出す。競合に対しての優位性は「既にCAFISを利用している金融機関がサービスに対応しやすいこと」(宮原氏)と説明する。CAFISには流通・小売業などの加盟店約2000社、金融機関約1600社、クレジットカード会社約120社が加盟している。