東京電力ホールディングス(東京電力HD)とゼンリンがドローンの安全飛行を支援する新事業に乗り出す。2017年3月29日、その名も「ドローンハイウェイ構想」を発表した。

 ドローンが安全に飛行できる空域を送電鉄塔や送電線などの設備周辺に設け、“空のハイウエー”を整備しサービスとして提供する()。ドローンを使う物流業者やインフラ点検業者などの利用を狙う。2019年度に一部サービスを始める計画だ。

送電鉄塔や送電線の周囲に、ドローン専用の空域を設ける。ドローン専用の高速道路を作るイメージだ
送電鉄塔や送電線の周囲に、ドローン専用の空域を設ける。ドローン専用の高速道路を作るイメージだ
出所:東京電力HD
[画像のクリックで拡大表示]

 ドローンハイウェイの利用者は、東京電力HDとゼンリンに利用料を支払う。具体的な料金や課金方法は決まっていない。距離に応じた従量制や、定額制などが想定される。

規制緩和を見通して事業化目指す

 ドローンの長距離飛行は、2015年12月に改正された航空法によって制限されている。飛行中のドローンを目視で確認しなければならないからだ。

 政府は2018年をめどに規制緩和を進める方針だ。現行の航空法は改正せずに、長距離飛行を実現する環境整備を進める。離島や山間部への荷物配送を可能にする無線技術の実用化を前提に、認可の仕組みを設ける。

 こうした制度改正の流れを見通して、東京電力HDとゼンリンは、ドローンの長距離飛行を支援するインフラの整備に着手した。

 ドローンハイウェイでは、東京電力グループの電力設備を標識としてドローンを誘導する「誘導プラットフォーム」を開発する。同グループの変電所、送電鉄塔、送電線をドローンが認識しつつ、接近し過ぎないように回避して飛行する。飛行ルートを決めておけば、大量のドローンが空を飛ぶ時代になっても、衝突事故を防ぎやすい。

 東京電力グループは、送電鉄塔を約5万基、送電線を約1万5000キロメートル分保有している。東京電力HDはドローンハイウェイについて「ドローン専用の高速道路を作るイメージだ」と説明する。