世界中で毎年同日に行われている「インターナショナル・オープンデータ・デイ」に合わせて、総務省統計局は政府統計の活用を促す初めてのコンテスト「STAT DASHグランプリ2016」を2016年3月5日に開催した。最高位の総務大臣賞には、データ活用を促す教育ツールの提案が選ばれた。一方で、日本のオープンデータ活用の課題を指摘する声も上がっている。

写真1●プレゼンテーションした関西学院高等部数理科学部の佐々木雄司さん
写真1●プレゼンテーションした関西学院高等部数理科学部の佐々木雄司さん
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 「STAT DASHグランプリ2016」は総務省統計局が中心になって開催し、政府統計ポータルサイト「e-Stat」の活用を促すために、政府が構築すべきシステムのアイデアを募集する「行政サービス開拓部門」と、斬新なデータ活用アイデアやアプリケーションを募集する「データ利活用啓発部門」の2部門が行われた。2015年12月から2016年2月まで募集期間に、計69作品の応募があった。

 このうち一次審査を通過した12チームが、2016年3月5日のプレゼンテーション大会(最終選考会)で、データ活用に詳しい専門家ら審査員に作品を披露した。最終選考会は、オープンデータの支援や利用を促進するために世界中で同日に開催された「インターナショナル・オープンデータ・デイ2016」に合わせて行われた。

 オープンデータとは、行政機関や企業などが持つデータをコンピュータを使って誰もが利用できるようにするもの。データを市民や顧客とのコミュニケーションツールとして活用し、意見を政策やサービスの改善に反映するのが狙いだ。総務省統計局は政府統計データの幅広い利用を促してきた、いわばオープンデータの“老舗”といえる。

 このうち「STAT DASHグランプリ2016」の行政サービス開拓部門で総務大臣賞を受賞した関西学院高等部数理科学部は、小中学生が自ら統計を学んでデータを活用できる「小中学生のための統計情報ポータルサイトe-Stat Junior」を高校生の視点で提案した。

 提案したe-Stat Juniorでは、専門用語を使わずにふりがな付きで学年別に統計データを提供。検索によって関連統計や同時に調査された統計も表示して、小中学生が自らデータを活用して学べるように提案した。プレゼンテーションをした高校1年生(当時)の佐々木雄司さんは「e-Stat Juniorは、e-Statを使えるようになるまでの橋渡しとなる」と説明した(写真1)。