NTTデータが開発方法論の「TERASOLUNA」を4月中に刷新する。海外展開など事業領域の拡大を目指す中で、現行版のTERASOLUNAが抱える課題の解消を図る。既存の基幹系SIの枠を越えた、「新たな事業形態や開発スタイルに対応する」(NTTデータ 技術革新統括本部 システム技術本部 生産技術部 プロジェクトマネジメント・ソリューションセンタ 課長 豊嶋淳史氏)ための施策だ。

 TERASOLUNAは、NTTデータが自社で開発し、2000年代前半から利用するシステム開発・保守の体系。開発プロセスや作業手順などを定めた開発方法論、フレームワークなどの開発環境、研修や教育を含むサポートという三つの要素で構成する。三つの要素のうち、今回は開発方法論を刷新の対象とする。

 TERASOLUNAの現行版は、主に大規模な業務系WebシステムのSI案件での適用を想定。開発プロセスはウォーターフォールを前提とする。これらの前提を満たす案件に対しては、現行のTERASOLUNAはなお有効だ。ただし、最近では三つの課題が鮮明になっている。具体的には、(1)ゼロから開発しない案件、(2)中小規模案件、(3)複数国に展開する案件である。

 (1)のゼロから開発しない案件は、NTTデータの主要顧客である大規模ユーザーが、開発期間の短縮などを目的に、SIではなくパッケージソフトの採用を選択するケースが増えてきたことを意味する。同様に、ユーザーがアプリケーションの運用や保守開発を委託するAMO(アプリケーションマネジメントアウトソーシング)サービスを利用するケースも増えている。特にNTTデータの海外のグループ会社には、こうしたアウトソーシングを得意とする会社もある。

 これに対し、現行のTERASOLUNAは基本的にパッケージ開発やAMOを想定していない。国内の人材が海外のグループ企業でも活躍できるようにするために、開発方法論のカバー領域を広げる必要があった。

中小規模の案件には重すぎる

 (2)の中小規模案件に対しては、大規模なシステム開発を想定するTERASOLUNAはオーバースペックになりやすい。TERASOLUNAは各工程の成果物を細かく規定したり、工程ごとの作業内容も踏み込んで規定したりしているという。工程ごとの標準作業に取り組み、成果物を着実に出すことで、大規模開発のリスクを制御する狙いがある。