障害を理由にしたサービス提供の拒否/制限を禁じる法律が、2016年4月1日に施行された。「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(障害者差別解消法)である。国の行政機関や地方公共団体をはじめ、民間事業者も対象となる。

 この法律は、情報アクセシビリティ(情報へのアクセスのしやすさ)を、社会的障壁を取り除くための「環境整備」と位置付ける。その向上を、違反しても直ちに罰則を受けない「努力義務」として課す。行政機関や事業者による自主的な取り組みを促す。

 障害のある人から要請を受けた場合には、負担になり過ぎない範囲の「合理的配慮」も必要になる。音声読み上げソフトで利用するため動画の字幕情報をテキストデータで欲しいという人に、データを渡すといった対応だ。合理的配慮は行政機関にとっては義務、事業者にとっては努力義務だ。

図●アクセシビリティ向上のために求められる工夫の例
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図●アクセシビリティ向上のために求められる工夫の例

 この法律で真っ先に対応が求められるものの一つが、Webサイトだ。Webサイトはもはや、情報提供のインフラとして欠かせない存在。だが作り方に配慮が足りないと、必要な情報が得られないケースがある()。

 Webサイトが満たすべき要件は、日本工業規格の「JIS X 8341-3」にまとめられている。同規格は、2016年3月22日に改正されたばかり。「改正作業では障害者差別解消法を意識した。同法に基づいた対応をするうえで指針になる」(同規格を担当する経済産業省 産業技術環境局 国際電気標準課)。