富士通は2016年4月1日付の機構改革で「デジタルサービス部門」を新設する。富士通単体で約4100人、連結で約2万5000人の規模。クラウドやビッグデータ、人工知能(AI)、IoT(Internet of Things)などの新規技術をユーザー企業の事業に生かす「デジタルシフト」の支援を狙う。このために社内に点在していた関連部署を集約した。1日付で同社 執行役員専務に昇格し、CTO(最高技術責任者)に就任する香川進吾氏(現 執行役員常務 インテグレーションサービス部門副部門長)(写真1)が同部門長を兼任する。
デジタルサービス部門は10の本部で構成する(図)。中核となるのは、これまで社長直轄の組織だったデジタルビジネスプラットフォーム事業本部。2015年9月に富士通が発表した「FUJITSU Digital Business Platform MetaArc(MetaArc)」の開発やサービス提供などを中心となって進めている部署だ。
富士通は2015年度、PC、携帯電話機器、ネットワーク機器の各事業で構造改革を進めてきた。PC事業と携帯電話機器事業を切り出して、それぞれ新会社を設立するなど大きな組織再編を実施した。
しかし、構造改革を実施した各事業の中でも、今回、デジタルサービス部門に集約した部署には手を付けず、富士通本体に残していた。例えば、IoTに必要なウエアラブル端末を開発する部署などがそれだ。構造改革の中で温存してきた各部署を新部門に集約し、「デジタルビジネス専門部隊を旗揚げ」(香川氏)した形になる。