米インテルがドローンへの投資を拡大している。2016年にドイツのドローンメーカーの買収を発表したほか、2015年には中国のドローンメーカーに出資する計画を明らかにした。ドローンの開発キットや商用機体の開発も進めている。ドローン事業への投資額については非公開だが、成長事業として注力しているのは間違いない。

 投資を拡大している理由は、「ドローンが大量データを処理するコンピュータだから」だ。インテルのアニール・ナンデュリ ニューテクノロジー・グループ副社長 兼 UAV事業本部長は「ドローンは一度の飛行で数百ギガバイトの画像データを収集し、インターネットを通じてデータセンターに送信する」と説明する。

インテルのアニール・ナンデュリ ニューテクノロジー・グループ副社長 兼 UAV事業本部長
インテルのアニール・ナンデュリ ニューテクノロジー・グループ副社長 兼 UAV事業本部長
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 同氏はインテルでドローン事業のトップを務める人物。2017年3月22日に日本国内でドローン事業について戦略を説明した。

 インテルはIoTの普及を見据えて、同社が開発するプロセッサーの新しい利用領域を開拓しようとしている。これまで、PCやサーバー、データセンター向け製品を中心に市場で巨大なシェアを築いてきた。今後は、ドローンや5G、そして様々なモノに搭載されるセンサーデバイスに注目する。

 ナンデュリ氏は「ドローンに代表されるデータ収集の端末から、収集したデータを処理するデータセンターまで、広範囲に製品やソリューションを提供するのがインテルの成長戦略だ」と説明する。

多数のドローンを同時飛行させる用途を想定

 インテルの投資分野で特徴的なのが、数百台を同時に飛行させる用途で開発したドローン「Shooting Star」だ。4枚のプロペラを搭載した「クアッドコプター」。大きさは38.4×38.4×9.3センチメートルで、LEDを搭載する。このドローンを数百台、飛行させて空に巨大ディスプレーを作り、新しい情報の伝達手段として活用する。 

スーパーボウルでレディー・ガガ氏のパフォーマンスとともに、300台のドローンが飛行した。
スーパーボウルでレディー・ガガ氏のパフォーマンスとともに、300台のドローンが飛行した。
出所:インテル
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ドローンで米国の国旗などを描くパフォーマンスの様子
ドローンで米国の国旗などを描くパフォーマンスの様子
出所:インテル
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 2016年には500台のドローンを使った光のショーを披露して、ギネス記録を更新した。ショーの舞台となったのは、テーマパークやスポーツのイベントなどだ。米国のアメリカンフットボールのイベント「スーパーボウル」では、有名歌手のレディー・ガガ氏のパフォーマンスに合わせて300台が飛行し、上空に米国の国旗などを描いた。