RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を使った業務支援システムの構築・導入・運用を手掛けるRPAテクノロジーズは2017年3月22日、人材育成や知見の共有を軸とするRPA導入支援策を新たに打ち出した。RPAエンジニアの育成や派遣を担う子会社を新設したほか、簡易的なRPAシステム導入サービスを開始した。

 背景には「このままではRPAが失速しかねない」との強い懸念がある。事務作業を効率化する手段として注目を集めるRPAは「日本でも予想以上の広がりを見せており、驚いている」と、RPAテクノロジーズの大角暢之社長は話す。一方で、大角社長は「RPAに対する誤解や過剰な期待が多く、問題が生じているプロジェクトもある」と指摘。「RPAは役立たず」との烙印(らくいん)を押されないよう、地に足の付いたRPA導入支援を目指す。

RPAテクノロジーズの大角社長(右)と大石CTO
RPAテクノロジーズの大角社長(右)と大石CTO
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働き方改革がRPAブームを加速

 RPAは定型的な処理をソフトウエアで自動化することで、主にホワイトカラーの事務作業を効率化する仕組みを指す。現在は、事前の指示通りに処理する単純作業の置き換えが中心だが、将来的に人工知能(AI)を活用してより広範な作業を担えるとされる。

 RPAテクノロジーズによれば、2017年に入ってRPAに対する企業の関心が急激に高まっている。「2016年は首都圏の企業や団体が中心だったが、今では導入を検討する企業が全国規模で増えつつある。当社への問い合わせも殺到している」(大角社長)。

 RPA普及推進団体である日本RPA協会が2月7日に開いた相談会。当初50人だった参加者枠に、企業の総務や人事の担当者ら300人が応募した。同協会は参加者を最終的に80人に増やして対応した。大角氏は同協会の代表理事を務める。

 RPAブームを実感しているのは、RPAテクノロジーズにとどまらない。「2016年秋以降、企業からの問い合わせが急増している。説明に充てる担当者が足りない」。PwCコンサルティングの水上晃ディレクターは、こう打ち明ける。RPAに関する1カ月当たりの問い合わせ件数は、10数倍に増えた。問い合わせを寄せるのは経営企画や業務推進といった部門が中心という。