ライフネット生命保険は2017年9月にも、契約内容の見直しや住所の変更といった契約関連手続きをLINEだけで完結できるようにする。国内生保として初の取り組みという。

 契約変更の先には新規の保険契約手続きのLINE対応も視野に入れ、ネット生保からスマホ生保へと事業の主軸転換を図る。ちょっとした隙間時間で保険契約を見直せる手軽さを打ち出し、若年層を中心に契約者増を狙う。

 ライフネット生命がLINEを使って始めるのは、保険契約の「保全」、保険金の「支払い」、契約内容の見直しなどの「契約」という三つの手続きだ。保全とは契約者の名義や住所の変更、支払い方法の変更など、保険契約者情報の管理業務を指す。同社の約15万人の保険契約者を対象に、9月にも保全手続きから順次提供を始める。

LINEを使った保健サービス画面の例(提供済みの保険診断画面)
LINEを使った保健サービス画面の例(提供済みの保険診断画面)
(出所:ライフネット生命保険)
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 利用者はLINEを使って、各種の手続きをチャット形式で進める。チャットの相手として、人工知能(AI)を使ったチャットボットと人間のオペレーターの併用を想定する。

 「いらっしゃいませ!ご利用になるお手続きをお選びください」

 「名義変更の手続きを知りたいんですけど」

 「かしこまりました。ではお客様のご契約情報を教えてください。まずお名前を…」

 サービスの利用イメージは、このようなものだ。利用者はチャットに答える形で、氏名や住所、生年月日、契約者番号、保険契約の名称などを送信する。加えて、「いくつぐらいの保険商品があるんですか?」といった自然文での問いかけも可能という。必要に応じて選択形式のメニューを対話画面に表示し、利用者が何を入力していいか迷わないようにする。

 現状の保全手続きは、同社のWebサイト上で実施する。契約者のIDとパスワードを使ってWebサイトにログインし、契約者専用Webページ上の記入欄に名義変更などの情報を入力する。

ネット生保からスマホ生保へ

 「生命保険をより身近な存在にするため、顧客の日常生活に浸透しているサービスを入り口にする」。ライフネット生命の岩瀬大輔社長は、LINE活用を進める狙いをこう説明する。利用者が常に持ち歩くスマートフォンと、コミュニケーション手段として若年層に定着したLINE。両者を組み合わせて、ちょっとした隙間時間でも気軽に手続きができるようにする。