「市場が伸びてMVNOが獲得できていたかなりの部分が、Y!mobileに流れてしまったのではないか」――。MM総研が調べる独自サービス型SIMの事業者シェアで、トップを維持するNTTコミュニケーションズ(NTTコム)ネットワークサービス部オープンネットワークサービス部門第一グループの北村和広担当部長はこのように嘆く。同社は2016年度のモバイルサービス全体(個人、法人、MVNEを含む)で200万契約を目指していたが、目標には届かない見込みという。その大きな要因として、Y!mobileなどのサブブランドの攻勢をあげる。

 Y!mobileが1月に実施した発表会で、ソフトバンクの寺尾洋幸Y!mobile事業推進本部執行役員本部長は、2016年4~12月の同社のスマホ販売台数が前年同期と比べて2.5倍に伸びたことを明らかにした。同期間の格安スマホ市場のスマホ販売台数シェアでも同社は40%を占めているという。

写真1●大規模な広告宣伝を展開する「UQ mobile」。ようやくシェア上位に浮上してきており、2017年の台風の目になりそうだ。
写真1●大規模な広告宣伝を展開する「UQ mobile」。ようやくシェア上位に浮上してきており、2017年の台風の目になりそうだ。
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 KDDI(au)のサブブランドと言えるUQコミュニケーションズのMVNOサービス「UQ mobile」も2017年に入り、ようやく大規模な広告宣伝効果が実を結び始めたようだ。2016年12月末時点で約25.7万件の契約数にとどまっていたが、「2017年2月単月のMVNO市場の純増シェアは、おそらくUQ mobileがトップ」(MM総研の石塚昭久研究課長)。MM総研は2017年3月末の国内MVNO市場の調査結果を2017年6月に発表予定だが、「その際には独自サービス型SIM市場のシェア上位に、プラスワン・マーケティングのFREETEL SIMと並んでUQ mobileも入るだろう」(石塚研究課長)という。