東日本高速道路(NEXCO東日本)は、高速道路の凍結防止にIoT(インターネット・オブ・シングズ)を役立てる。路面に凍結防止剤を散布するときに、センサーを使って路面状況を自動判定し散布量を計算するシステムの導入を進めている。2017年度中に北海道での巡回車両や散布車に同システムの導入を進め、36台まで拡大する計画だ。

 「システム導入の狙いは、塩のまき過ぎを防ぐことだ」。NEXCO東日本の松本吉英 建設・技術本部 技術・環境部 技術企画課長 兼 雪氷対策高度化チームリーダーはこう説明する。従来も、凍結防止剤を自動で散布する装置は利用していたが、路面状況を自動判定するIoTの仕組みは導入していなかった。

 同社が管理する高速道路の全長は約3800キロメートル。そのうち、約6割で年間の積雪量が1メートルを超える。積雪で車両が通行できなくなる、凍結によるスリップで事故が発生しやすくなる、といった危険をはらんだ地域だ。同社は、雪氷対策に年間約150億円を投じているという。

NEXCO東日本が管理している高速道路のうち約6割が積雪地域だという。写真は除雪をしている様子
NEXCO東日本が管理している高速道路のうち約6割が積雪地域だという。写真は除雪をしている様子
(出所:NEXCO東日本)
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 凍結防止剤として主に使用しているのは「塩」だ。塩化ナトリウムを散布すると、道路が凍りづらくなる。

 ところが「塩を散布すると、道路の構造物が劣化しやすくなる」(松本氏)という。道路のコンクリート中に鉄筋が埋め込まれている場合、塩水によってさびやすくなってしまうのだという。松本氏は「特に橋梁では、大量に散布するのは避けたい」と話す。