日本生命保険は2015年3月、新たな営業支援システムの運用を開始した。従来はオンプレミス(サーバー設置型)で構築していたが、SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)へ移行。各拠点にいる担当者や協力会社との情報共有の迅速化を図った。

 新システムを利用するのは、同社不動産部のメンバーや業務委託業者など約100人。不動産部は、同社が保有するオフィスビルのテナント候補企業に対して営業活動を展開している(写真)。

写真●日本生命が保有するビルの1つで、2014年11月に開業した「日本生命丸の内ガーデンタワー」(東京・丸の内)
写真●日本生命が保有するビルの1つで、2014年11月に開業した「日本生命丸の内ガーデンタワー」(東京・丸の内)
[画像のクリックで拡大表示]

 同社によると「保有するビルは2014年12月末時点で300棟強ある」という。営業活動は業務委託業者にも一部任せている。

 不動産部は従来、マイクロソフトのデータベースソフト「Microsoft Access」を使って構築した営業支援システムを利用していた。このシステムで営業担当者の案件や商談、顧客訪問記録を管理し、データは社内のファイルサーバーに保存する形だった。

 問題は、従来システムでは情報共有の手間がかかっていたことだ。セキュリティ上、地方担当者や業務委託業者は直接社内のファイルサーバーにアクセスすることができない。「ファイルサーバー内のAccessで管理しているデータを扱うために、一度Excelにデータを抽出しなければならなかった」(日本生命)。

 本社の担当者は地方担当者や業務委託業者に対して、メールでExcelファイルを送付。地方担当者や業務委託業者はそのExcelファイルの内容を更新して、本社担当者に送り、その内容をAccessに反映する、という作業が必要だった。