データセンター(DC)で使用するサーバーやストレージの設計図をオープンソース化する「Open Compute Project(OCP)」の存在感が、ここにきてさらに増している。OCPが2015年3月に開催したイベント「OCP U.S. Summit 2015」では、米アップルがOCPに参加していることが明らかになったほか、米フェイスブックがSoC(システム・オン・チップ)型プロセッサを搭載するサーバー「Yosemite」を発表している。

 OCPはフェイスブックが2011年に開始したもので、現在は米Open Compute Projectファウンデーションが活動の中心になっている(関連記事:Facebookが提唱!OCPで実現する次世代データセンター)。

 OCPファウンデーションの役員会には、フェイスブックのほかに米マイクロソフトや米インテル、米ラックスペース・ホスティング、米アリスタ・ネットワークス、米ゴールドマンサックスが名を連ねる。インテルとアリスタ以外はハードウエアのユーザー企業であり、OCPはユーザー企業がハードの仕様を決める場となっている。

 米国カリフォルニア州サンノゼ市で2015年3月10~11日に開催されたOCP U.S. Summit 2015における最大のニュースが、アップルによるOCPへの参加だ。OCP U.S. Summit 2015の基調講演で、OCPファウンデーションのフランク・フランコフスキー会長が明らかにした。

 OCPはサーバーやストレージなど分野ごとに「ワークグループ」を設けており、フェイスブックやマイクロソフトなどが開発し、OCPへと寄贈したハードの設計図についてワーキンググループで議論を行い、OCP仕様としてきた。アップルはこのワーキンググループにエンジニアを派遣し、仕様の策定に貢献していく。

 フェイスブックやマイクロソフトに並ぶ“大口ユーザー”であるアップルが参加することで、OCPの重要性はますます高まりそうだ。

1ラックに540個のプロセッサを集約する「Yosemite」

写真1●フェイスブックが発表した「Yosemite」のサーバーカード
写真1●フェイスブックが発表した「Yosemite」のサーバーカード
[画像のクリックで拡大表示]

 ハードに関する発表もあった。フェイスブックが3月10日に発表したサーバーである「Yosemite」(写真1)は、インテルが同日発表したサーバー用のSoC型プロセッサである「Xeon D」を搭載できる。Xeon Dはイーサネットコントローラーなどを統合したSoc型プロセッサだ。YosemiteはSoCを2個搭載するサーバーカードと、カードを収納する高さ2Uのエンクロージャーから成り、2Uのエンクロージャーに36個のプロセッサ、ラック全体では540個のプロセッサを搭載できる。

 Yosemiteのサーバーカード1台当たりの消費電力は90Wと低く、「規模の大きい並列処理を、従来よりも大幅に少ない消費電力で実行できる」(フェイスブックのフー・リー氏)としている。フェイスブックはYosemite開発のために、インテルと18カ月間にわたって協業してきたという。インテルがフェイスブックを既存のPCサーバーベンダー並みに優遇している実態が明らかになった。