20年前、パソコンの大量導入によって大幅に効率化されたはずのオフィスワーク。ところがまだまだ手作業は残っている。「書類を見ながら業務システムにデータ入力」「ウェブの画面からデータをコピーしてエクセルにペースト」――。システム化するにはコストがかかりすぎるという理由で、人手に頼る仕事はまだまだ多い。

 そんな状況を打破する技術として期待がかかるのが「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」。定型的なパソコン操作を、ソフトウエアのロボットに代行させて自動化を図るものだ。注目が集まったのは2016年だが、先んじて導入した企業は既に成果を出し始めている。

 その1社が、オリックス・ビジネスセンター沖縄(OBCO、沖縄県那覇市)。法人向け金融や、レンタカーなどオリックスグループ会社の事業の根幹に関わる営業事務を担っている。

 2016年にRPAを導入。オフィスワークの効率化に乗り出した。同社がRPAに着目した経緯を、2016年の初めまでさかのぼって見てみよう。

殺到するレンタカー予約、処理する人手が足りない

 レンタカーの予約が殺到する夏がやってくる。今のメンバーだけでは対処できず、数十人を加える必要があるが、働き手の確保は難しい。在宅ワーカーに依頼しようか──。

 2016年初め、上原一仁第4事業部兼業務編成部マネージャーは頭を抱えていた。上原マネージャーのチームは、グループ会社のオリックスレンタカーの予約情報を、旅行サイトなどから受け付け、基幹系システムに登録する業務を担当している(図1)。

図1●オリックス・ビジネスセンター沖縄は人手不足の業務にロボットを適用して成果出す
図1●オリックス・ビジネスセンター沖縄は人手不足の業務にロボットを適用して成果出す
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 繁忙期の処理件数は、1日で300件にも上る。予約のキャンセルにも対応するため、多くのメンバーが必要になるのだ。