「2020年には300億~500億のモノがインターネットに接続するIoT(Internet of Things)時代になる。5G(第5世代移動通信)はモノ同士が接続する時代をサポートする」──。

 スペイン・バルセロナで3月上旬に開催された世界最大のモバイル展示会「Mobile World Congress(MWC)2015」。2日目の「The Road to 5G」と題したセッションに登壇した中国ファーウェイの輪番CEO(最高経営責任者)兼取締役副会長の胡厚崑(ケン・フー)氏はこう断言した(写真1)。

写真1●「The Road to 5G」と題したセッションで講演する中国ファーウェイ輪番CEO兼取締役副会長の胡厚崑(ケン・フー)氏
写真1●「The Road to 5G」と題したセッションで講演する中国ファーウェイ輪番CEO兼取締役副会長の胡厚崑(ケン・フー)氏
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 MWC 2015の話題の中心となったのは、2020年をめどに商用化が進んでいる5Gだ。通信速度10Gビット/秒の実現を目指しており、高速化に注目が集まることが多いが、5Gのメリットはそれだけではない。

 5Gを推進するネットワークベンダーやキャリアの代表者は、速度以外の5Gのメリットを強調する。具体的には、ネットワークからクルマなどのハードウエアを制御する際に不可欠な「低遅延」や、IoTの進展よってネットワークに「大量接続」する機器への対応だ。MWC 2015は、こういった特徴を持つ5Gネットワークを、どのようなサービスと連携させるかという議論が白熱したともいえる。

 韓国大手携帯電話事業者KTの会長兼CEOであるファン・チャンギュ氏は、「クルマの自動運転を実現するのに、1Gビット/秒の通信速度が必要なのはご存じだろうか?そして、多数のクルマ同士、あるいはクルマとインフラ間で通信する技術が現在存在していないことも」と聴衆に訴えた(写真2)。速さだけでない5Gのメリットをアピールしようという意識がにじむ発言だ。

写真2●講演するKT会長兼CEOのファン・チャンギュ氏
写真2●講演するKT会長兼CEOのファン・チャンギュ氏
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