サイバーエージェントは、ネット利用者のテレビ視聴動向に応じた動画広告配信サービスを始める。慶応義塾大学と共同で12万人規模の生活実態やネット利用傾向の調査を実施。同社の持つネット利用履歴データを基に、テレビCMの視聴動向に応じて動画広告を出し分ける。まずテレビをあまり見ない層に絞った配信サービスを2016年3月9日に開始。3月中には逆にテレビをよく見る層への配信も始める。ネット広告が二桁成長と高い伸びを示す中、ネットとテレビを併用することでより効果的な広告配信を目指す。

テレビをあまり見ない「ローテレ」、よく見る「ハイテレ」ごとに動画広告を配信
テレビをあまり見ない「ローテレ」、よく見る「ハイテレ」ごとに動画広告を配信
(出所:サイバーエージェント)
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 慶応義塾大学 湘南藤沢キャンパス 熊坂賢次研究室と共同開発した。同研究室はネット上のビッグデータ解析と社会論、ライフスタイル論などを研究している。

 新サービスの土台となった調査では、テレビへの接触頻度を五つに分類。各グループのネット利用状況や生活実態を調べた。

 調査ではテレビとネット、それぞれの利用傾向に加えてライフスタイルも質問した。内容は好きな芸能人や共感するライフスタイル、空き時間にしていることなど。データ件数は822万件。「オシャレやアイドルに夢中になる女子中学生」「一人暮らしの気楽な独身男性」といった消費者像を定義した。

 調査結果を基に、テレビをリアルタイム視聴する習慣が少なくテレビCMが届きにくい「ローテレ」層、テレビCMに多く接触する「ハイテレ」層に消費者を分類。調査結果のデータに、サイバーエージェントが持つネット利用履歴データを組み合わせた。ネット広告配信用のデータ分析システムである「DMP」の技術を使って、狙った層へ動画広告を配信する。