自動操縦機能を強化して安全性を高めたドローン(無人飛行機)が登場した。民生用でシェア7割を握る中国DJIは2016年3月3日、最新型の「Phantom 4」を国内発表。リアルタイムの画像処理で進行方向にある障害物を検知、自動的に回避できる「障害物感知システム」を搭載したのが特徴だ。

 価格は18万9000円(税込)。3月中旬に出荷する。

写真●3月3日に発表した新型ドローン「Phantom 4」
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写真●3月3日に発表した新型ドローン「Phantom 4」

 ドローンを巡っては、2015年4月の首相官邸での落下事件以降も安全性を巡るトラブルが絶えない。問題を受けて政府は12月に航空法を改正し、飛行ルールも定めた。「ただ、落下事故などを起こしづらい機体を生み出すことも重要だと考えた」(日本法人DJI JAPANの呉韜代表取締役)。

 障害物感知では、機体前方に搭載した2台のカメラが機体の前方を常に捉え続ける(写真)。映像をリアルタイムにサンプリングし、ドローン本体のソフトで処理。0.7~15メートルの距離に障害物が迫っていないかを確認する。回避しないと落下する危険が高いと判断すれば、安全に飛行できるよう機体の向きなどを変える。

自動飛行・自動帰還でも回避可能

 正確に前方の状況を捉え、障害物を避ける適切な飛行ルートを瞬時に導くアルゴリズムでは、最近の人工知能 (AI)の知見も利用したとする。Phantom4では、前機種が備えていた操縦者の元に帰還するモードに加え、目的地を選ぶだけで自律的に飛行していくモードを追加した。自動飛行の安全性を高めるためにも、障害物感知システムが欠かせなかった。