「ビジネスチャット市場は、確実に伸びる」。こう語るのは、インターネットイニシアティブ(IIJ)プロダクト本部の金子健プロダクト推進部長。同社と、ビジネスチャット「direct」を手掛けるL is B(エルイズビー)は2016年3月9日、プライベートクラウドで使える「directエンタープライズ版」を発表(画面1)。同月31日から提供を始める。
エンタープライズ版ではIIJの販路などを利用し、主に大企業への導入を狙う。目標は1年間で20社とする。
「LINE」のような感覚で業務の連絡ができるビジネスチャットは、国内企業でも利用が広がっている(関連記事:私用LINEの業務利用はこれで止める)。最近は国産の「チャットワーク」や米国発の「Slack」などが人気だ。directもその一つで、既に約500社が採用する。
directの魅力はカスタマイズの容易さにある。ソフトウエア開発キット(SDK)を用意。他のシステムとAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)でさまざまな連携ができる仕組みを持つ。directほど多様な連携が可能なビジネスチャットは国内で例がないという。
大企業のニーズに応える
1万人規模での導入事例もあるdirectだが、「大企業からの引き合いが増えるにつれ、自社専有環境で使いたいというニーズが明確化した」。エルイズビーの横井太輔代表取締役CEO(最高経営責任者)はこう話す(写真)。従来はアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)を使ってサービスを提供しており、自社の情報をパブリッククラウド上でやり取りすることを懸念する企業が、導入をためらうケースがあった。