NTTデータ、積水ハウス、大日本印刷、ベンチャーラボ、SELTECHの5社は2017年3月1日、「セキュアIoTアライアンス(SIA)」を発足させた。IoT(インターネット・オブ・シングズ)機器のセキュリティについて、標準仕様策定を目指す。

 5社は「ステアリングパートナー」として、SIAの意思決定に関わる。積水ハウスは、SIA参画の狙いについて「スマートハウスやスマートシティにおいてIoTを活用したサービスを提供するうえで、セキュリティ基盤が不可欠。当社はIT企業ではないので、専門企業とアライアンスを組むなかで技術を取り込んでいく」(広報部)と説明する。

 5社以外に、意思決定に関わらないが仕様を利用できる「スタンダードパートナー」として、NTT、日本ユニシス、ビックカメラ、サーコム・ジャパン、図研エルミック、ThroughTekの6社も参画する。今後は、家電メーカーや警備サービス業などの参画を増やす方針だ。

IoT製品化時に何をすべきかを明示

 日本で企業・業種横断でIoTセキュリティを仕様策定に取り組むのは、SIAが初めてのケースだとみられる。まだSIA参画企業は11社にとどまるが、今後参画企業が増えれば、IoTセキュリティの分野で事実上の標準仕様を策定する団体に発展する可能性がある。

写真1●SELTECHの代表取締役社長で、セキュアIoTアライアンス理事長を務める江川将偉氏
写真1●SELTECHの代表取締役社長で、セキュアIoTアライアンス理事長を務める江川将偉氏
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 「IoTに関する企業横断の取り組みは増えつつあるが、セキュリティが抜け落ちている。政府・業界の会合などでもIoTセキュリティは話題に上るものの、IoT機器メーカーが製品を作る際に何をすべきかというレベルまでは具体化していない。サイバー攻撃が問題化する前に手を打つ必要があると考えた」。

 SELTECHの代表取締役社長で、SIA理事長を務める江川将偉氏(写真1)は、SIA発足の狙いをこう話す。

 SELTECHの本業は組み込みソフトウエア開発で、デジタル複合機向けや自動車向けに強い。組み込み機器・IoT機器で使われる処理能力が低いCPUで動作する仮想化基盤ソフト(ハイパーバイザー)を独自に開発する。

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