総務省が2017年1月24日に公表した「固定電話網の円滑な移行の在り方」に関する1次答申案に対し、43件の意見が寄せられた。細部に反論はあったが、予定通り3月末までに答申となる見通し。むしろ、2次答申の議論に向けた意見が多く、早くもヒートアップしてきた。総務省は4月に関係事業者への公開ヒアリングを実施するもようだ。

写真1●「固定電話網の円滑な移行の在り方」に関する1次答申案には43件の意見が寄せられた
写真1●「固定電話網の円滑な移行の在り方」に関する1次答申案には43件の意見が寄せられた
[画像のクリックで拡大表示]

 意見募集の提出者で目立ったのは、ラジオと消防関連。ラジオ関連は、INSネットのディジタル通信モードの終了に関する意見が中心だ。全体的に賛同や念押しの意見が多く、NTT東西も補完策の提供意向を今月中に表明する予定である。消防関連では、緊急通報の回線保留機能(受理機関が通話を切断しない限り通話を継続する機能)を移行先のIP網で実現できなくなることに対する懸念や、消防指令台の設備更改に関する不満が多かった。NTT東西は今後、受理機関の要望を踏まえ、IP網で緊急通報を実現する仕様を具体的に検討していく考え。

 KDDIは、NTT東西が固定電話市場で県間通話や国際通話に進出することを強くけん制した。さらに移行先のIP網では東京や大阪のPOI(相互接続点)ビルを介して各社が2者間接続する構成となるため、従来のGC(加入者交換局)接続やIC(中継交換局)接続に比べ、中継(県間)伝送路の費用が加わる分、接続料が高くなる可能性に着目。NTT東西は移行先のメタルIP電話の通話料を全国一律とする方針を示しているが、スタックテスト(接続料と利用者料金の検証)で問題となる可能性や、公正な競争環境を維持できなくなる可能性なども指摘した。

 NTT東西に対する規制を重視するKDDIに対し、ソフトバンクは競争促進に向けた意見が中心だった。ただ、内容に目新しさはなく、NGN(次世代ネットワーク)の機能開放促進や光回線の接続料低廉化など従来と同様の要望が目立つ。「おとくライン」で利用するドライカッパー接続料の上昇傾向にも危機感を抱いており、「スタックテストの運用に関するガイドライン」の見直しを強く求めた。