EMCジャパンは2016年3月2日、PCI Express(PCIe)接続の共有ストレージ「EMC DSSD D5」を発表した。「ラックスケールフラッシュという、新たなカテゴリーがストレージに加わった」。EMC アジア太平洋地域および日本 DSSD部門 セールス&事業開発 ディレクターのマイケル・レオン氏が話すように、DSSDは独自のアーキテクチャーを採用。最大1000万IOPSという高速性、最大144TBという大容量を両立させている。

図●EMC DSSD D5の概要
図●EMC DSSD D5の概要
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 フラッシュのみを搭載する「オールフラッシュ製品」は今や珍しくない。DSSDもオールフュラッシュだが、PCIe接続である点が特徴だ。「データを置く場所がCPUに近いほど、データの処理スピードは速い」(レオン氏)ので、CPUのキャッシュ、サーバーのメモリー(DRAM)、一般的なストレージシステム、とCPUから離れるにつれて遅くなる。

 この課題に対して、CPUに近い場所に不揮発性メモリーを配置し、その上でデータを高速処理しようというのが「サーバーフラッシュ」のアイデア。PCIeボード型のフラッシュをサーバーに装着し、NVM Express(NVMe)インタフェースで高速アクセスする「Fusion ioMemory」が代表例だ。しかしレオン氏は「サーバーごとにボードを挿し込むのでデータを共有できない。ボードに障害が発生したときにデータを救えないし、容量も限られる」と限界を指摘。サーバーフラッシュの高速性はそのままに「PCIe上に共有ストレージを作る」(同氏)、それがDSSDのコンセプトである。

 DSSDは、96個のポートを備える。ポート1つが4レーンのPCIe Gen3(PCI Express 3.0 x4)で、1台のサーバーとは2ポート使って接続する(デュアルポート)。このため、最大で48台のサーバーと接続できるようになっている。

 ただし「PCIeはストレージを共有するために作られたわけではない」(レオン氏)ため、5年の開発期間をかけて技術的課題を乗り越える必要があった。