自家用車を使った配車サービスである「ライドシェア」を巡る動きがにわかに活発になってきた。米ウーバー・テクノロジーズがライドシェアの実験に向けて自治体と相次ぎ協業。訪日外国人や交通弱者の輸送手段として実用化に動き出した。危機感を感じたタクシー業界団体は抗議集会を開催。「危険きわまりない」と一歩も譲らない構えだ。
「危険な白タクを阻止するぞー」「安全を破壊する白タクを許すな!」。3月8日、東京・日比谷にある日比谷公会堂。タクシーやハイヤーの労働者団体「全国自動車交通労働組合連合会(全自交)」などから成るデモ隊が、シュプレヒコールをあげていた。この日、ライドシェアの導入に向けた政府の規制緩和論議やIT業界の動きに抗議する総決起集会を開いたのだ。
「IT企業はライドシェアを『便利になる』『安くなる』など甘い言葉を並べる。しかしライドシェアという名の下に行う白タク行為は、利用者の安心・安全をないがしろにするものだ」。集会ではライドシェアを推し進めるIT企業や業界に反対する意見が相次いだ。
加速するライドシェア実用化の動き
タクシー・ハイヤー業界が反発するのは、ライドシェアの実用化に向けた動きがここへ来て加速し始めたからだ。
「公共交通の空白地になっている地域に、ITを活用して移動手段を提供する。経済的負担を減らしつつ利便性を高めることで、人々の行動パターンが変わる」。集会に先立つ7日、ウーバージャパンは地方自治体と組むことを説明。高橋正巳社長は意義をこう強調した。