2015年は、全国のゲームセンターに電子マネーの導入が広がりそうだ。タイトーやセガ、コナミデジタルエンタテインメントが、電子マネー決済の導入に向けてそれぞれ動きを始めている。今後1年間で、少なくとも200店舗ほどのゲームセンターで新たに電子マネー決済が可能になる見込みだ。

 ゲームセンターへの電子マネー導入の動きは以前からあった。ただ現状では、導入は一部の店舗にとどまり広く普及するには至っていない。

 例えばセガは2004年に、一部店舗に電子マネー決済を試験導入している(関連記事:おサイフケータイの活用で「売り上げを伸ばす」)。だが、「当時はまだ電子マネーの普及度合いが低く、電子マネー導入が売り上げ向上にはつながらなかった」(同社)。結局、同社の店舗では正式導入しなかったという。

 多くのゲームセンターでは、現状でも100円硬貨による決済が主流だ。運営者にとっては両替機を運用したり、ゲーム機一台ごとに集金して回ったりする手間が発生している。「100円玉を入れた袋は20kgにもなり、持ち上げたり運んだりするのも大変」(タイトー 電子マネー推進プロジェクトの宮方詩穂サブリーダー)。集金してみなければ売り上げが分からない点も課題だ。

 柔軟な価格付けができない点も問題となっている。例えば、消費税の導入や物価変動などを料金に反映するのが難しい。利用者の少ない時間帯に割引料金を設定して集客する、といった施策も打てない。

 電子マネーによる決済が導入されれば集金や両替機の運用の手間を減らせるため、店舗運営が効率化できる。売り上げもリアルタイムに把握できる。1円単位での柔軟な値付けも可能になり、数%割引きなどのキャンペーンも実施しやすい。また来店者にとっても、両替が不要になる分、手軽にゲームを楽しめるようになる。

十数億円を投資、利便性向上で売り上げ回復狙う

 一昔前とは異なり、今や電子マネーは商業施設や交通機関などで広く採用され、利用者も増えている。加えて消費税増税などの動きもにらみ、決済端末や決済システムの開発が進んでいる。こうしたことから、ゲームセンターを運営する企業が電子マネー導入に本腰を入れ始めた。

 その一つがタイトーだ。2016年3月までに、全国の直営店舗40店に電子マネー決済を導入する(関連記事:タイトーがゲームセンターに電子マネー決済を導入、全国40店舗に展開)。