「修理業界に対し、端末メーカーが正規部品や技術情報を提供してくれるような協力関係を期待している。業界の動きは激しく、今後は変化も起こってくるのではないか」――。スマートフォンの修理業者を中心に構成する「携帯端末登録修理協議会」で連絡会座長を務める黒澤賢司氏は、日本で端末を供給するメーカーが修理業界に対する意識を変え、協業が実現する将来への期待をこう語る。
技術基準に適合した携帯端末の修理ができる第三者修理の業者を総務省が審査・登録する「登録修理制度」が2015年に始まり、携帯端末登録修理協議会が業界団体として発足した。協議会には日本の端末メーカーや携帯大手3社なども関連事業者会員として協議会に名前を連ねる。
しかし、日本の端末メーカーや米アップルなどはおしなべて外部への純正部品の供給を拒んでおり、いまだに第三者修理の業界はコピー部品を使って「勝手修理」のサービスを提供している“日陰”の存在だ。
黒澤氏が所属するAsurion Technology Japanはメーカーからの純正部品が入手できないため、総務省が認めた登録修理業者の第1号ながら、本格的な第三者修理事業は手掛けていない。パナソニックモバイルコミュニケーションズの端末修理・保守事業を買収したことに伴い、同社端末のメーカー修理を第三者修理として発注を受けている事業が主体になっているのが現状だ。