大日本印刷(DNP)と日本ユニシスは2015年4月から、小売・サービス業の企業向けに、「国際ブランドプリペイドカード」の発行・決済などの業務をワンストップで受託するBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスの提供を始める。2018年までの4年間に20社程度の大口顧客を獲得し、300億円の売上高を目標としている。

 2社は共同でクラウド方式の決済プラットフォームを開発・運用する。カード申し込み受付や発行、国際ブランド(Visa、MasterCard、JCB)による決済、入金・売り上げ・残高管理などの基本機能をクラウドサービスとして提供。ポイント管理やPOS(販売時点情報管理)システムとの連携など、個別要件に応じたカスタマイズもできる。

まだ大きいキャッシュレス化需要

 大日本印刷情報ソリューション事業部デジタルセキュリティ本部の米田孝三副本部長は、「日本で依然として多い現金決済をキャッシュレス化する流れの中で、既存の決済インフラをそのまま利用できる国際ブランドによるプリペイドカードに商機があると判断した」と狙いを説明する。

 新サービスで発行するカードは、Visaなど国際ブランドの加盟店や決済端末などでそのまま通用する。クレジットカードとは異なり、利用者は前払いでお金を入金(チャージ)しておく必要がある。一方で、入会審査が不要で、年齢・収入などにかかわらずカードを持てるのが特長だ。

 政府は「日本再興戦略」において「2020年オリンピック・パラリンピック東京大会等の開催等を踏まえ、キャッシュレス決済の普及による決済の利便性・効率性の向上を図る」という方向性を示している。クレジットカードを保有していない外国人が日本を訪れる場合に、プリペイドカードは有力な支払手段になる。

 日本人市場だけを見ても、キャッシュレス決済はまだ拡大余地がある。電子マネーやクレジットカードの普及にもかからず、依然として小売・サービス業の3000円以下の少額決済のうち8~9割を現金決済が占めるという調査結果もある。