「過去2年間はMNO(移動通信事業者)との差分を埋めることに注力した。今年はオリジナリティーを追求する年になる」──。楽天モバイルを担当する楽天の大尾嘉宏人執行役員 通信&メディアカンパニー楽天モバイル事業長はこのように語る。

 2014年10月のMVNO(仮想移動体通信事業者)サービス参入から、3年目に突入した楽天モバイル。MM総研の調べで独自サービス型SIM市場において楽天モバイルは、NTTコミュニケーションズ、インターネットイニシアティブ(IIJ)に次ぐシェア3位を占める。月次の申し込み件数も対前年比で拡大が続いており、直近ではテレコムインサイド推定で、契約数が80万を超えたもようだ。サービス拡充も続けており、3月からは月1980円で国内通話を時間無制限のかけ放題とするトライアルを始める。大尾嘉事業長は「残ったMNOとの差分を埋めるために、どうしてもやりたかった」と打ち明ける。

2014年10月に格安スマホ市場に参入した楽天モバイル
2014年10月に格安スマホ市場に参入した楽天モバイル
右から2人目が楽天モバイルを担当する楽天の大尾嘉宏人執行役員 通信&メディアカンパニー楽天モバイル事業長(現職)
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 大尾嘉事業長の言葉の通り、これまで2年間の楽天モバイルの取り組みは、MNOのサービスと満足度で差分がある部分の解消を進めてきたと言える。例えばサービス開始後の2015年は、MNOと比較してMVNOには端末の選択肢がほとんど無かった。そこで楽天モバイルはMVNOの中で、最も多い端末の選択肢を用意した。端末の差分が埋まった後は、顧客接点やサービスの差分解消に重点を置いた。リアルショップの拡充や5分かけ放題プラン、大容量プラン、データシェアの導入、そして今回の時間無制限の国内通話かけ放題のトライアルだ。大尾嘉事業長は「過去2年間で端末とサービス面でほぼMNOに追いついた」と語る。

 そして今年は冒頭の言葉のように、いよいよオリジナリティーを追求する年になるという。具体的には「楽天グループの他のサービスと楽天モバイルを連携した、サービス提案に力を入れる」(大尾嘉事業長)。これまでも楽天の様々なサービスの入り口となるポータルアプリ「楽天ゲートウェイ」などを提供してきたが、グループ連携はまだ十分とは言えなかった。