クラウド活用事例が毎日のようにニュースになる中、クラウドを使わない選択をする企業もある。「今回のシステム刷新ではクラウドを候補から外した」。こう語るのは、旭化成の佐々勤購買・物流統括部企画管理部購買グループ課長だ。

 旭化成は2017年4月、購買システムの刷新プロジェクトを本格的に開始する。このシステムは原材料などの直接材と、工場設備や事務用品などの間接材の調達業務を支援するもの。ユーザーは旭化成グループで直接材と間接材の購買に関係する約5000人だ。原材料が調達できなければ工場のラインが止まってしまうので、重要度の高いシステムである。現行システムは2010年に稼働を開始した。

 新システムは2020年3月までに稼働させる予定。現在は構築ベンダーを選定中だ。刷新の最大の目的は業務パッケージを採用すること。現行システムはJavaで独自開発したもので、「OSやミドルウエアを更新するたびに、アプリケーションにも手直しが必要になっていた。パッケージに移行することでその手間を軽減させる」と佐々課長は話す。今回の刷新費用は数億円とみられる。

 新システムにはパッケージを活用するものの、クラウドは使わない。Amazon Web Services(AWS)などのIaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)については、「グループ会社の旭化成ネットワークが所有するデータセンターを使うので現状では必要がない」(佐々課長)。