写真1●東芝が開発するワイヤレス充電システム用のLSI
写真1●東芝が開発するワイヤレス充電システム用のLSI
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「2017年には、全世界で2億個の製品がワイヤレス充電に対応する」――。

 東芝セミコンダクター&ストレージ社 ミックスドシグナルIC事業部 ミックスドシグナルIC応用技術部の堀英司 参事はこう話す。「ワイヤレス充電」とは、有線ケーブルや専用の接続端子など使わずに充電できるシステムのこと。例えば、机やマットなどに専用のICやコイルなど内蔵することで、受電用のICやコイルなど搭載したスマートフォンなどの機器を、その上に置くだけで充電できる(写真1)。

 スマートフォンの普及や様々な機器がネットを介して相互につながるIoT(Interenet of Things)の拡大で需要が拡大するとにらんだ東芝は、ワイヤレス充電システムに本腰を入れ始めた。KDDIは、同技術を開発する米ベンチャーに出資。三菱電機も「スマートホーム」向けに研究開発を進めるなど、各社が本格的に動き始めた。

IoT時代到来で需要が急増すると予測

 ワイヤレス充電の方式は「電磁誘導」や「磁界共鳴」などがあり、実用化に向けて研究開発や規格の統一が進められてきた。2008年には、ワイヤレス充電の規格の1つである「Qi(チー)」を策定する目的で、「Wireless Power Consortium(WPC)」が設立された。「Qi」に準拠した製品は、現在も米国や欧州、アジアなどで販売されている。

 東芝によれば、2015年時点でワイヤレス充電に対応する製品は世界中で5000万個程度。しかし、今後は急速に増え、2017年には約2億個に到達すると予測している。東芝は、2017年にシェア3割獲得を狙って、システムの量産を計画している。