国内のスマホ市場を、中国や台湾のメーカーが席巻している。華為技術日本(ファーウェイ・ジャパン)が2017年2月21日に開催した発表会では、スマートフォンの新シリーズ「nova」を日本で発売することを明らかにした。

 ファーウェイは国内スマホ市場で3位に躍り出たことを強調し、新製品を次々と披露する。この勢いはどこまで続くのか。ファーウェイの戦略を、発表内容から分析していく(写真1)。

写真1●ファーウェイ・ジャパンが「nova」シリーズのスマートフォンを発表
写真1●ファーウェイ・ジャパンが「nova」シリーズのスマートフォンを発表
(撮影:山口 健太、以下同じ)
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iPhoneに届いたことは「歴史的快挙だ」

 ファーウェイで日本・韓国地域のデバイス責任者を務める呉波氏は、2016年の終わりに社員を集め、「今年も日本市場で生き残ることができた」と語ったという。

 だが、その言葉とは裏腹に業績は至って絶好調にみえる。BCNランキングでは、国内スマートフォン市場におけるファーウェイのシェアは2016年12月に9.3%を占め、アップル、ソニーモバイルに次ぐ、3位に躍進しており、発表会でもそれを強調した(写真2)。

写真2●2016年12月の国内スマホ市場で3位に
写真2●2016年12月の国内スマホ市場で3位に
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 これまで3位だったシャープを抜いた形になるが、その差はそれほど大きくないようだ。呉氏は2017年の目標について、「この3位というポジションを盤石にしていきたい」と語った。

 SIMロックフリー(SIMフリー)のスマホだけのランキングでは、販売額でファーウェイが1位、ASUSが2位となったという。ただし、販売台数では逆にASUSが1位、ファーウェイが2位で両社は拮抗している情勢だ。呉氏によれば、ファーウェイは中上位機に注力しており、これが販売額の高さにつながったと考えられる(写真3)。

写真3●2016年のSIMフリースマホ、販売額ではファーウェイが1位
写真3●2016年のSIMフリースマホ、販売額ではファーウェイが1位
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 ファーウェイの主力となっているのが、フラグシップの「HUAWEI P9」やその普及価格版「HUAWEI P9 lite」で、年末には大画面のフラグシップ「HUAWEI Mate 9」も発売。「生産が追いつかないほど売れている」(呉氏)という。今回の発表会では、日本市場向けに新色としてブラックモデルを追加した(写真4)。

写真4●HUAWEI Mate 9にブラックモデルを追加
写真4●HUAWEI Mate 9にブラックモデルを追加
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 2017年2月には、GfKジャパンによる調査においてP9 liteが10位にランクインした。SIMフリー端末がランクインしたのは「史上初だ」という。「これまで日本では上からiPhone、iPhone、iPhoneと並んでいたが、初めてファーウェイが10位に入った。歴史的快挙だ」(呉氏)。

 またモバイル業界最大の展示会「Mobile World Congress」に合わせて、バルセロナで発表会を開催する予定だ。すでにフラグシップの最新モデル「HUAWEI P10」の発表を、ティザー動画で予告している(Webサイト)。

 日本でのP10の発売について呉氏は明言しなかったが、「これまでP8liteやP9シリーズを日本市場で発売してきた」と語り、含みを持たせた。P10の新機能は、インカメラのデュアル化などが予想されているが、「単なる後継モデルではない。皆さんを驚くような進化を遂げているので期待していてほしい」(呉氏)と予告した。