NTTドコモが自動車業界向けビジネスに本腰を入れ始めた。同社の阿佐美弘恭代表取締役副社長をヘッドとした全社横断組織「自動車ビジネスPT」を立ち上げ、現在、自動車業界向けのビジネス戦略を策定中だ。2017年4月末の期末決算で発表予定の新たな中期経営計画において、「自動車ビジネスを全社の成長の軸の一つとする予定。少なくとも3桁の利益目標(数百億円規模)になり、数年後には自動車ビジネスが会社の収益を支えていく存在になるだろう」(NTTドコモ関係者)という。

歩行者のスマホから Wi-Fi Directを利用してバスに存在を通知
歩行者のスマホから Wi-Fi Directを利用してバスに存在を通知
スマートモビリティ推進コンソーシアムが2017年1月から開始した九州大学構内の自動運転バスの実証実験において、NTTドコモは歩行者の存在をドライバーに通知するP2X(Pedestrian to Everything)システムの構築を担う。
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 自動車ビジネスPTが目指す方向性は、(1)APAC地域を中心としたグローバル回線提供の拡大、(2)インフラビジネスから周辺サービス領域を取り込んだ高収益体制へのシフト、(3)自動車をフィーチャーフォン、スマホに続く新たなメディアと捉え、d系サービスを含めたアセット活用による継続的発展――という3つである。

 実はドコモの携帯電話の純増数に占める、自動車向け回線の割合は高い。「月間で数万、年間で数十万規模の純増数が自動車向けの回線提供」(NTTドコモ関係者)という。純増数に占める自動車業界向け回線の存在感が高まる一方で、自動車業界は様々なビジネス上の課題を抱えている。これらの課題をドコモのアセットを活用して解決。上記の3つの方向性に沿ってビジネス拡大を狙う考えだ。