「お客様の目的地、福岡空港の現在の気温は6度です。上着などを準備されたほうがよいかもしれません」。こんな親切な案内を優しく教えてくれるロボットが、羽田空港のインフォメーションカウンターに登場した。
日本航空(JAL)と野村総合研究所(NRI)は2016年2月9日~18日の間、ロボットとApple Watchを活用して利用客に情報提示する実証実験を実施した。実証実験の舞台は羽田空港(写真1)。冒頭の発言は、国内線の第1旅客ターミナルのインフォメーションカウンターで、仏アルデバランロボティクス製のヒト型ロボット「NAO」が話したもの。
NAOは自然言語認識機能を搭載しており、利用客が話しかけると、搭乗ゲートや空港内のレストラン、トイレの場所、目的地の天気などを教えてくれる。このほか、保安検査場でApple WatchとNAOを連携させて、アナウンスさせた。空港スタッフが手を回しきれない業務をNAOに任せる試みだ。
「NAOを設置したカウンターは、バス乗り場から保安検査場までの動線上に位置する『花道』。必ずといっていいほど利用客が通る」。JAL IT企画本部 IT運営企画部 次世代技術企画グループの下川朋美主任はこう話す。しかし空港スタッフが常時、待機していることは難しい場所だ。空港スタッフは、発着便のお知らせや搭乗ゲートまでの案内などで、空港内を移動することが多いからだ。
デジタルサイネージと連携して案内
音声で応答するだけでなく、デジタルサイネージ(電子看板)と連動して、利用客を案内する(写真2)。例えば、利用客が行きたい搭乗ゲートを聞くと、NAOが音声で説明するとともに、デジタルサイネージに地図が表示される(写真3、4)。「音声の会話だけでは利用者に伝えきれない情報も、地図を表示すれば案内しやすい」(下川主任)。羽田空港は広く、目的の搭乗ゲートまで100メートル以上離れていることも少なくない。搭乗ゲートまでの順路を正確に把握しやすくする。