日本郵船がシステム子会社の機構改革に乗り出した。同社のシステム子会社であるYJK Solutions(以下、YJK)の株式の51%を富士通に売却し、2015年4月1日から共同運営会社として“再出発”させる。富士通への株式売却金額は、数千万円程度とみられる。

 YJKは、日本郵船グループのシステム開発・運用に加え、グループ会社以外を対象にしたシステムの外販も手掛ける。日本郵船のシステム部門から見れば、「YJKはITベンダーの1社」(YJKの武田敏明社長)という位置付けである。

 YJKの売上高は2014年3月期で23億円、社員数は160人。船舶管理システムや港湾管理システムの開発・運用・保守に強みを持つ。現在、日本郵船グループ以外を除く外販売り上げ比率は30%である。「外販事業はそこそこ好調だが、全体の売上高はここ数年、ほぼ横ばい」(同)という。

富士通の力で技術力を底上げ

 日本郵船がYJKを富士通に売却する狙いは、外販力の強化。「グループ会社向けの仕事だけでは、当社が成長し続けることは難しい。かといって1社で外販強化といっても容易ではない。最新の技術力を備える富士通と手を組むことで、ITスキルを強化し、グループ会社以外の顧客開拓を進めていく」。YJKの武田社長はこう意気込む(写真)。

写真●日本郵船は共同運営会社の設立により、システム子会社の技術力をアップし、海運関連の専門知識を生かした外販を伸ばす狙い
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写真●日本郵船は共同運営会社の設立により、システム子会社の技術力をアップし、海運関連の専門知識を生かした外販を伸ばす狙い

 外販強化のためYJKを富士通に完全売却するという選択肢もあったものの、今回、日本郵船はYJKの株式49%を保持する。この点について武田社長は、「富士通に会社運営の主導権を握ってもらう一方、YJKは日本郵船グループ向けの業務も担当しているため、グループの外に置くことは適切ではないと判断した」と話す。