「国内のデータセンターからSAP HANA Cloud Platform(HCP)を利用可能にする。今年はPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)を本格的に展開していく」。SAPジャパンの福田譲社長は2016年2月3日に開催した戦略発表会で、こう意気込みを語った。

 SAP HCPは、インメモリーデータベースを核にしたミドルウエア「SAP HANA」をクラウドサービスとして提供するPaaS()。これまで海外のデータセンターからのみの提供だったが、第1四半期中にもSAPジャパンの国内データセンターから使えるようになる見込みだ。営業も強化していく。

図●PaaS「SAP HANA Cloud Platform」の概要、SAPジャパンはPaaSで新規顧客の開拓も狙う
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図●PaaS「SAP HANA Cloud Platform」の概要、SAPジャパンはPaaSで新規顧客の開拓も狙う

 「既にSAP HCPを利用している日本企業はあるが、レイテンシー(遅延時間)などを考慮して採用を見送る企業もあった。日本のデータセンターから提供すれば、顧客が採用しやすくなる」と福田社長はみる。

 SAPジャパンがSAP HCPに力を入れる狙いは二つある。

 一つは、これまでSAP製品と全く縁がなかった顧客の獲得だ。SAP HCPがJavaでの開発環境を備えていることや、データ分析やテキスト検索、位置情報エンジンといったインメモリーデータベース以外のHANAの機能もアピールして顧客の幅を広げる。

新しい使い方を提案

 国内データセンターから利用可能になるとレイテンシーは短縮される。このことから、IoT(Internet of Things)関連システムの基盤としての利用や、Webサービス、モバイル向けアプリの開発基盤といった使い方も提案する。福田社長は「明確には言えない」と濁すが、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)などが競合する分野になる。