欧州SAPが23年ぶりに、ERP(統合基幹業務システム)を中心としたビジネスアプリケーション製品を刷新する。まず2015年3月中にパブリッククラウド形式で提供。その後、SAPのデータセンターを利用するプライベートクラウドやオンプレミスの形式でも提供する予定だ。日本での提供は世界と同時期となる。
新製品の名称は「SAP Business Suite 4 SAP HANA(S/4HANA)」。基幹系と情報系の境目をなくし、社内の誰もが意思決定に必要な情報を即座に参照できるようにする、というコンセプトのもと、SAPが数年かけて発表してきた製品やサービスをまとめた集大成との位置付けだ。
特徴の一つは、動作基盤に同社のインメモリーデータベース「HANA」のみを採用したこと(図)。
これまでの主力であるERP製品「SAP ERP(R/3)」やビジネスアプリケーション群「SAP Business Suite」は、HANAに加えて他社製リレーショナルデータベース(RDB)を選択できた。「全てのデータを統合し、処理の待ち時間をゼロにするシステムを実現するには、HANA以外の選択肢はなかった」と、SAPエグゼクティブ・ボード・メンバーのロバート・エンスリン氏は強調する。