図1●マイナンバー制度の広報用ロゴマーク愛称「マイナちゃん」
図1●マイナンバー制度の広報用ロゴマーク愛称「マイナちゃん」
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 2016年1月に税と社会保障の分野で利用が始まるマイナンバー制度に向けて、一部の企業は関連事務を外部委託するため2015年度の予算確保を検討し始めた。しかし、外部に委託するにしても、2015年4月には準備作業に着手しなければ時間的に厳しいという指摘も出ている。

外部委託で集中管理を検討

 人材サービスのマンパワーグループは、マイナンバーの取得や本人確認などは外部委託して一カ所で集約して行う方針だ。

 現在、同社グループは全国130拠点のうち80拠点で採用活動をしている。抱えている派遣社員や契約社員は約3万人。人材の入れ替わりのため年間5万~6万人のマイナンバーを取得する必要があると見込んでいる。

 同社グループのマイナンバー対策チームは「80拠点でマイナンバーを扱うのはリスクが大きい」と判断。マイナンバーを取り扱う部署を限定して外部委託し、業務フローへの影響や安全管理上のリスクなどを減らす。

 人材派遣やアルバイトを採用する企業では、採用決定の翌日が出社日になることも多い。マンパワーグループには入社までの準備期間を短縮した独自の業務フローがある。外部委託により、マイナンバーの取得や本人確認にも迅速さを確保したい考えだ。

サッポロホールディングスは2社を利用

 サッポロホールディングスはマイナンバー対応に向けて、ナンバー管理システムの導入支援とプロジェクト進行の外部コンサルティングの2社を利用する予定だ。グループの共通業務を集約しているサッポログループマネジメントに20名ほどのプロジェクトメンバーを発足させ、グループ会社全体の対応を進めている。2015年3月中に対象業務を洗い出し、4月に対応方針を決定して業務フローの見直しやシステム整備、規定類の見直しを進める予定という。

 同社グループはサッポロビールなど五つの事業会社を抱えている。中には外食を手掛ける会社もあり、パートやアルバイトが多数在籍している。対象業務への影響調査や従業員教育のために、各グループ会社や拠点ごとに窓口担当者を選任。個人番号が配布される前の2015年9月ごろに従業員向け教育も実施する予定という。