セイコーエプソンが、大容量インクタンクを搭載してランニングコストを従来の1/10程度まで抑えた「エコタンク搭載モデル」の最上位モデルを投入する。コストの一部をインクカートリッジで回収していた従来とは異なるビジネスモデルを採用する製品だ。
同社が2017年2月8日に発表した、コンシューマー向けA4対応インクジェット複合機の新機種「EW-M770T」がそれだ。ランニングコストを重視するエコタンク搭載モデルでありながら従来のカラリオ並みの機能と性能を持つ、“エコタンク搭載カラリオ”とも言うべき製品だ。実売6万9980円(同社直販部門の税別予定価格)で、3月2日に販売を開始する(図1)。
エプソンは2016年から、既存の「カラリオ」シリーズに加え、印刷量の多いユーザーに向けて「カラリオ V-edition」と「エコタンク搭載モデル」という2つの製品カテゴリーを新たに設定し、順次製品の投入を始めた(図2)。
新カテゴリー製品の特徴は、低ランニングコスト。新製品であるEW-M770Tは文書1枚当たりのインクコストが、カラー1.3円/ページ、モノクロ0.5円/ページ。ほぼ同等性能の「PX-M650F」と比べて、カラーが約1/10、モノクロでは約1/8という圧倒的な低さを実現している。
1~2年程度はインクを補充せずに使い続けることができ、これまで必要だったカートリッジの運搬や廃棄による環境負荷も減らせる。
半面、新カテゴリーの製品は、本体価格が従来より高くなる。コストの一部をインクカートリッジで回収していた従来とは異なるビジネスモデルを採用するためだ。本体でしっかり利益を確保して、その分、インクのランニングコストを低く抑える。
これでエコタンク搭載モデルは、合計5モデルとなった(図3)。従来の機種は主に文書印刷向けだったが、今回のEW-M770Tはフチなし写真印刷や光ディスクのレーベル印刷にも対応し、インクの耐候性も上げた高機能モデルという位置付けだ。これまでの印刷性能とは一線を画している。
またこれまでのエコタンク搭載機は、海外向けのハードウエアを流用して日本語化したうえで国内投入していたが、今回のEW-M770Tは国内向けに新規設計したという。