企業内で、いまだにペーパーレス化が進んでいない業務の一つが経費精算だ。経費精算には、領収書やレシートといった“紙”の取り扱いが欠かせない。企業には領収書の保管義務があり、基本的には原本を7年間保存しなくてはならないからだ。毎月貯まった領収書を1枚ずつ台紙に貼り付けて、経理部門に提出しているビジネスパーソンは少なくないだろう。

 だが今後、経費精算の電子化が急速に進む可能性がある。2015年12月24日に閣議決定された2016年度の税制改正大綱に、デジタルカメラやスマートフォンで撮影した画像を正式な書類として認めるという規制緩和が盛り込まれた。これに基づいて法改正がなされれば、2017年には企業の経理業務に適用できるようになる見込みだ。

 領収書の電子保存をめぐっては、2015年秋にも規制緩和が行われている。従来は「3万円未満の領収書のみが対象」「電子署名が必要」といった条件があったが、電子帳簿保存法の改正によってこれらがなくなった(関連記事:弥生が領収書の「スキャンデータ取込」開始、スキャナー5年間無償貸与も)。2016年から、これに基づいた電子保存が可能になっている。

 2016年度の税制改正大綱はこれをさらに進め、電子化に用いる機器の条件を緩和。これまでは原稿台付きスキャナーが必要だったが、新たにデジタルカメラやスマートフォンの利用を認めるとの内容を盛り込んだ。

 これが実現すれば、電子化はぐっと手軽になる。例えば外出や出張の多い社員が領収書を電子化する場合。スキャナーなら基本的にオフィスに戻る必要があるが、スマートフォンを使えばその場で済ませられるようになる。