Windows 10 Mobile搭載スマホ「VAIO Phone Biz」を発表する日本マイクロソフトの平野社長(右端)ら(4日、東京・千代田)
Windows 10 Mobile搭載スマホ「VAIO Phone Biz」を発表する日本マイクロソフトの平野社長(右端)ら(4日、東京・千代田)
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 「ハシゴを外す? 今回はそんなことないですよ。前回とは結構違います」――。日本マイクロソフトの平野拓也代表執行役社長は、Windows 10 Mobileを搭載したスマートフォン(スマホ)の日本国内における展開についてこう語り、OS提供元として継続的にコミットメントする姿勢を示した。2016年2月4日に開催された、VAIO(長野県安曇野市)のWindows 10 Mobile搭載スマホ「VAIO Phone Biz」発表会で日経BP社記者の取材に応じた。

 平野社長が言う「前回」とは、同社が2011~12年に一度Windows Phone搭載スマホの国内展開を試みたことを指す。KDDI(au)が2011年8月に「IS12T」(富士通東芝モバイルコミュニケーションズ製)を発売し、それに併せて日本国内で開発者支援プログラムを立ち上げるなどした。NTTドコモも「機種はそれほど多くないものの、(2012年の)冬モデルで(発売を)検討している」(山田隆持社長=当時)と、Windows Phone搭載スマホの発売を示唆する発言をしていた。

 しかしNTTドコモが2012年冬モデルでWindows Phone搭載スマホを製品化することはなかった。KDDIもIS12Tの後継機を投入することはなく、Windows Phone搭載スマホはいったん表舞台から消えている。通信業界関係者の間では「米MicrosoftがWindows Phoneの展開地域を見直し、市場規模の小さい日本での展開を見送った」との観測もあるが、真相は藪(やぶ)の中だ。そしてIS12T発売から約4年、当時の記憶も薄れつつある2015年後半から、日本MSは複数の端末メーカーと組んで国内市場に再挑戦している。

 「前回とは結構違う」と語る平野社長。その根拠として、3つのポイントを挙げる。1つめはWindowsプラットフォームの拡張性だ。「Windows 10搭載のパソコンやタブレット、Windows 10 Mobile搭載のスマホの間では、幅広いアプリをクロスオーバーして使える。アプリをひとたびWindowsプラットフォームに載せれば、他の機器でも親和性高く使うことができ、開発者もユーザーも利便性の面で大きな利点がある」(平野社長)とする。